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画面の中で、俳優の顔がじわじわ大きくなる。こんな場面で「いま、ズームした?」と考えたら、顔の後ろにも目を向けてみてね。
ズームインは、レンズの設定を変えて大きく写す方法。ドリーインは、撮影するカメラ自体が相手へ近づく動きです。どちらも顔は大きくなるけれど、カメラがいる場所は同じではありません。
ここが分かると、感想にも一つ、具体的な言葉が増えます。「アップになった」の先で、どんなふうに距離が変わって見えたのかまで話せるんです。
レンズで寄るのか、カメラごと近づくのか
まずは、人が椅子に座っている場面を想像してみよう。顔の後ろには壁と窓がある、とします。
その場所からカメラを動かさず、レンズの焦点距離を変えて、写る範囲を狭くする。これが光学式のズームインです。焦点距離はレンズの写り方に関わる値で、この場合は値を大きくすると、狭い範囲が大きく写ります。
一方、カメラを前へ進めて、その人に近づくのがドリーイン。レンズメーカーのタムロンの解説でも、ズームと、カメラ自体が移動するドリーを分けています。
あ、顔が大きくなった、という結果だけでは区別できないんだね!
観察するときは、顔と窓の関係も見てみよう。カメラが近づく場合は、人までの距離と、奥の窓までの距離の関係が変わります。同じ顔の大きさへ寄せても、固定位置からのズームと、背景の見え方まで同じになるとは限りません。
ただし、窓が見えない暗い背景なら、判断材料は少なくなります。無理に技法名を当てなくて大丈夫。「少しずつ顔に寄る画面だった」と書けば、見えたことはちゃんと伝わります。
顔は同じ大きさなのに、背景が動くこともある!
では逆に、人物の大きさがあまり変わらないのに、後ろの空間がぐっと変わって見えたら?
カメラを前後に動かしながら、その変化を打ち消す方向へズームを調整する「ドリーズーム」という撮影方法があります。人物の大きさを保ちつつ、背景の見え方を変える組み合わせです。
つまり、寄る動きとズームは、どちらか一つを選ぶだけの関係でもないんですね。
ここで、もう一つだけ。Adobeの公式解説は、カメラを移動して撮った映像を、編集で拡大・位置調整し、ドリーズームの効果を作る方法も紹介しています。
完成した映像がそう見えたからといって、撮影中にレンズを操作したとまでは断定できません。制作資料を確認できなければ、「背景が迫るような効果があった」と、まず画面に現れていることを書くのがおすすめです。
「怖く見せるために使った」と監督の狙いまで決めなくても、「この場面では、背景の変化が人物の動揺と重なって見えた」なら、自分の読みとして話せます。
感想には、動きが始まった瞬間も残してみて
技法の名前を覚えたら、次は全部の場面で名前探し……まではしなくていいよ。
一つ気になったところで、誰が何をしたときに画面が寄り始めたか。それだけ短くメモしてみてほしいんです。
たとえば説明用の架空の場面なら、「返事を待っている間に顔が大きくなり、こちらも返事を急がされる感じがした」。動きと、自分がどう受け取ったかを分けて書くと、単に『迫力があった』より、その場面の話になります。
自分でもカメラを動かしてみたくなったら、小島真也『世界一わかりやすい 動画制作の教科書』も候補です。出版社の公開目次には、カメラワークの章と「フィックスショットとパン、そしてズーム」があります。
企業紹介などの動画を作る初心者向けの本で、映画評だけを学ぶ本ではありません。紙の本の識別番号、ISBNは9784297127435です。公開目次でドリーの個別解説までは確認していないため、この技法だけを目当てに購入するなら、先に内容を確かめてね。
付属動画についても注意があります。出版社のサポートページには、本のQRコード先が閲覧できない旨と、代わりのリンクの案内があります。動画を使うときはこちらも見ておこう。
次に画面がじわっと寄ったら、顔の後ろにも、ちょっとだけ注目してみて。「大きくなった」から「近づいてきたように感じた」へ。そこで何が違って見えたかが、あなたの感想の材料になります。