映画のADRって何?撮影後にせりふを録り直す、声の仕事を知ろう

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映画の最後、スタッフの名前に混じって出てくる「ADR」。何の仕事か分からず、そのまま画面が流れてしまうこともありますよね。

ADRは、撮影後に俳優がせりふを録り直し、映像に合わせて差し替える作業のこと。外国語の映画を日本語にする吹き替えだけを指しているわけではありません。もともとその役を演じた俳優が、同じ言語のせりふを再び演じる場合もあるんです。

では、現場で声を録ったのに、なぜもう一度? そこから見ると、名前だけだった仕事がぐっと身近になります。

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声が小さかったから、とは限らない

たとえば屋外で、俳優が大切な言葉を口にする場面を想像してみてください。表情はぴったり。でも、声に車の走行音や風の音が重なっていたら……そのままでは、聞いてほしい言葉が届きません。

音響制作を行うTFAの解説では、風や交通の音、マイクの不調などで現場の録音を使えない場合や、後からせりふを変更したい場合をADRの例に挙げています。

つまり、撮影が終わったから声の演技も完成、とは限らないんですね。

聞き取りにくい録音を補う仕事もあれば、物語を伝えるために言い方を調整する仕事もある。「録り直し」という一語で、俳優の演技が悪かったと決めつけないでおきたいところです。

口の動きが合えば完成? まだ声の続きがある

iZotopeのADR解説では、まず現場の音声を調べて録り直す箇所を選び、俳優がスタジオで映像や元の録音を確認しながら演じる流れが紹介されています。収録後も、ほかの音になじむよう編集が続きます。

ここ、想像すると結構むずかしいですよね。映像では息を切らしているのに、声だけ落ち着いていたら、言葉と体の様子が離れてしまう。

この例は説明用の場面ですが、合わせたいのが「話し始める時刻」だけではないことは見えてきます。元の場面とつながるタイミングと、せりふに乗る気持ち。その両方が関わるんです。

さらに、録音した声を映画の場所になじませる作業もあります。Avidの解説では、声の音質、響き、音量などを調整する工程が紹介されています。たとえば広いホールの場面なら、その空間に合う響きも考える。声だけをきれいに録って貼れば終わり、ではないんですね。

ADRの文字から、どこまで読み取れる?

スタッフ一覧にADRの担当名を見つけたら、「声を撮影後に仕上げる仕事も、この映画を支えているんだな」と読む入口になります。

ただし、その文字だけで、どの場面を何行録り直したかまでは分かりません。特定のせりふをADRだと紹介するなら、制作側の解説やメイキングなど、その作品についての根拠が必要です。

音を意識して見ることと、作業を言い当てることは分けておきましょう。自然に聞こえる声の後ろにも工程がある。まずそこに目を向けられれば、スタッフの名前も少し違って見えてきます。

声から映画の音作りへ広げたいなら

せりふの仕上げを知って、ほかの音の仕事も気になったら、ドキュメンタリー『ようこそ映画音響の世界へ』という選択肢があります。

キングレコードの商品紹介では、ハリウッドの音の歴史と、映画を支える音の職人たちを扱う作品と案内されています。監督はミッジ・コスティン。音響の仕事を、映画を作る人たちの側からたどりたい人に関係する一本です。

今回確認した商品は、ブルーレイ版の品番「KIXF-2080」。楽天の販売ページでも、作品名・監督名・品番が一致しています。購入するなら、同じ題名のDVD版や別の発売版と取り違えず、再生できる機器と取り寄せ条件を見て選んでくださいね。

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次に映画の最後でADRを見つけたら、もう意味の分からない三文字ではありません。あの映像に声をつなぐ人がいる。せりふを聞く楽しみに、その仕事への目線も一つ加えてみませんか。

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この記事を書いた人

作品を尊重しながら、映画の見どころや感想、考察を独自にまとめる編集部です。

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