映画の足音、あとから作るの?フォーリーの仕事と聞きどころを知ろう

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人物が廊下を歩く。服がこすれる。カップがテーブルへ戻される。

映画を観るとき、その音を全部、撮影した場所で一緒に録った音だと思っていませんか。実は、映像に合わせて後から体や道具で作り、録音する仕事があります。それがフォーリーです。

大きな爆発音だけが、映画の音の見せ場ではないんだね。何気なく見ていた一歩や、手を動かす瞬間にも、音の仕事へ目を向ける入口があります。

今回は、制作会社の説明と、フォーリーアーティストへの取材記事を基に、何をする仕事かを整理します。そのうえで、好きな映画を見返すとき、何を聞けばよいかを考えてみよう。特定作品の制作現場を見た体験談や、使われた道具を当てる記事ではありません。

目次

映像を見ながら、体や物で音を演じる仕事なんだ

フォーリー制作会社エヴァンスの公式説明では、フォーリーは効果音制作の仕事の一つで、主に足音、衣擦れ音、人が触れる物の音を担当すると紹介されています。スタジオで映像を見ながら、体や物を使って音を吹き込む仕事です。

映像の中では一人の俳優が動き、その映像に合わせて、別の場所で音を作る人が動く。画面に見える演技と、聞こえる動きを作る仕事が、そこでつながるわけです。

ただし、これを「映画から聞こえる音は全部フォーリー」と覚えないでね。効果音という言葉の中には、作り方や役割の違う音があります。

ヤマハによる滝野ますみさんへの取材でも、映像に合わせて生で制作、録音するフォーリーと、ライブラリーと呼ばれる音源素材を使う場合が分けて説明されています。聞こえる物の名前だけでなく、どう作る音かという違いもあるんです。

たとえば、靴の音が聞こえたとしても、鑑賞した音だけから、その作品のその一音がどの方法で作られたかを確定することはできません。フォーリーという仕事を知ったことと、個別の制作工程を調べたことは別にしておこう。

ここでは、「何気ない生活音にも、映像へ合わせて新しく作る仕事がある」と受け取ってもらえれば十分です。音源の分類を最初から全部暗記しなくても、映画を聞くときの問いが一つ増えるからね。

その問いは、「この音は、その場面で何を伝えている?」です。

ドアの向こうから聞こえる足音なら、足元が画面に入っているか。服の音なら、人物がどんな動きをしているか。まずは、聞こえた音と、画面にある情報を結び付けてみてください。

聞いた音の名前を当てるより、どの瞬間に鳴ったかを追うほうが入りやすいこともあります。歩き始め、止まるとき、振り返るとき。同じ人物の短い動きでも、見る点を絞れば、音へ注意を向ける場所が決まります。

映画の仕組みが分かると、物語から冷めてしまうかな、と迷う人もいるかもしれません。でも、毎回分析しながら観る必要はないよ。一度楽しんだ映画の一場面へ戻るとき、いつもと違う聞き方を試す。そのくらいの入口で大丈夫です。

制作の基礎も読みたくなった人へ、この記事では坂本昭人著『映像・動画制作者のためのサウンドデザイン入門』を紹介します。フォーリーだけの手順書としてではなく、効果音や音の組み合わせを学ぶ本の候補です。

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足音、衣擦れ、物に触れる音。タイミングの先まで聞いてみよう

足が床に着くところで音が鳴る。それだけなら、タイミングを合わせれば完成、と思いたくなります。

でも、先ほどのヤマハの取材で滝野さんは、人物の気持ちや作品への理解、演技を重ねて音を作ることを話しています。動きをなぞって時刻を合わせることだけではない、という説明です。

この話を鑑賞へ持っていくなら、「合っているか」の次に、「どういう動きとして聞こえるか」を置いてみよう。

ここからの場面は、聞き方を考えるための仮の例です。特定の映画で、実際にこの方法の録音をしたと報告しているものではありません。

仮に、同じ廊下を一人の人物が二度歩く場面があったとします。一度目はためらいながら、二度目は足早に。その二つで、音の間隔は同じか。足を止めるところはどうなっているか。先に俳優の表情だけで判断していた場面へ、別の手掛かりを足していけます。

ただ、間隔が短ければ必ず怒っている、と単純に決めるものでもありません。急いでいるのか、追われているのか、軽やかに歩いているのかは、場面やほかの情報と一緒に考えるところです。

音を性格診断の一覧表にせず、いま見ている人物の動きへ戻して聞く。そのほうが、物語を置き去りにしません。

足音以外にも、視点を一つずつ選べます。

注目する音 画面と合わせて聞いてみること 感想へ残す問い
足音 歩き始め、間隔、止まる瞬間 どの動きが特に耳へ残った?
衣擦れ 体をひねる、立ち上がる、腕を動かす場面 表情以外に動きが分かる音はあった?
物に触れる音 置く、持ち上げる、渡す瞬間 物の扱い方と、聞こえ方はどう重なった?

三つを一度に拾う必要はありません。次に見返すなら足音だけ、別の場面ならカップを置くところだけ。それぞれで、見る動作と聞く瞬間をそろえてみて。

カップの仮の場面なら、手から離れた瞬間の音と、そのあと台詞が始まるまでの間に耳を向けられます。強く聞こえたのか、周りの音の中で小さかったのか。その違いを、自分が聞いた範囲で言葉にするんです。

画面が切り替わる前後も、一つの区切りになります。仮に、歩く人物の全身から顔のアップへ切り替わり、その間も足音が続く場面なら、足元が見えなくなったあとも、歩く動きを音で追えるかを聞いてみる。いつ聞こえなくなったかも、場面を思い出す目印になります。

そのとき、音だけを無理に切り離して正体を当てなくてもいいんです。前の画面で誰がどこにいたか、次の画面で何が見えるかを一緒に見る。聞こえた一音を、映像の流れの中へ置き直してみよう。

「この人物は怒っていた」と一足飛びに書く前に、「カップが置かれる音が台詞の前に聞こえた」と残す。そこから、何を感じたのかを続けると、感想の根拠になる場面を示せます。

一方、衣擦れが聞き取れなかった場面で、必ず隠れた技があるはずだと探し続けなくてもいいよ。再生環境や、選んだ場面で聞こえる物は違います。聞こえなかったことを、そのまま制作で音が付けられていない証拠にはしないでください。

聞き方の目的は、全音を取り尽くすことではありません。いままで一まとめにしていた人物の動きを、一つ具体的に見るためです。足が止まるところに耳を向けるだけでも、見返すポイントは作れます。

その先で、効果音の役割や演出を言葉から考えたいなら、紹介する本の公開目次には、その項目があります。鑑賞の問いから、制作側の考え方へ進む候補として見てみてね。

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聞こえたことと、作り方の推測は分ける。道具当てだけで終わらせない

フォーリーを知ると、何を使って作った音なのかも気になってくると思います。映像の中の物とは違う道具を使うのかな、と想像が広がるよね。

ただ、その想像を、調べた制作事実として書かないようにしよう。

たとえば、何かが割れるような音を聞いて、ある材料を思い浮かべたとしても、その作品で実際に使われた材料を確認したことにはなりません。メイキングや制作者の説明が見つかったら、そこで初めて、その作品の情報として結び付けられます。

見返すときのメモなら、聞こえたこと、そう感じた理由、調べたいことの三つを分けると使いやすいです。

「物が置かれた瞬間、短い音が聞こえた」は観察。「置き方がきっぱりしているように感じた」は受け止め方。「何を使って録音したか知りたい」は、まだ答えのない疑問。この三つを同じ事実として混ぜないんです。

時間の目印を残すなら、台詞の直前、人物が振り返ったあと、といった場面の手掛かりを添える方法もあります。あとで見直すとき、作品のどこを指していたかが分かるからです。「足音がよかった」という一行から、どの動きのどの瞬間を好きだと思ったかへ、少しだけ細かくしていく感じだね。

もし途中から別の音が気になったら、最初に決めた一音を取り切れなかったと考えなくて大丈夫。残したい問いが変わったなら、それを書けばいい。鑑賞の楽しみを、項目を埋める宿題にしないようにしよう。

疑問が残っていることは、感想の失敗ではありません。むしろ、その作品のメイキングやスタッフの話を探すときに、何を確かめたいかが具体的になります。

ここで、エンドクレジットも入口にできます。音の仕事に関する表記を探して、どんな担当名があるかを見る。ただし、作品ごとに表記や分担は違うので、フォーリーという語が見つからないだけで、その制作工程がなかったとは決められません。

担当者名を見つけた場合も、その人が全ての音を一人で作った、と広げないでね。映像作品の音について調べたいなら、作品側が公表している担当情報と、その人が説明している範囲を合わせて読むのがよいと思います。

また、一人のアーティストが取材で語った制作日数や体制を、全作品の標準として使うことも避けたいところです。今回の記事でも、仕事の中身を知る説明と、特定の制作条件を分けています。

では、鑑賞する側は専門の機材まで買わないと分からない? そこから始めなくても大丈夫。まずは、自分が普段観ている環境で、台詞の少ない短い一場面を選ぶことからでいいんです。

聞き取るために、無理に大きな音量へ上げる必要もありません。普段無理なく聞ける範囲で、一つの動きに注意を向ける。音量を上げることと、何を聞くか決めることは別だからね。

映画館なら、その場では物語を楽しみ、あとで覚えている一音を残す形でもよいと思います。すべての音を記録するために周りへ気を配れなくなるより、自分が持ち帰れた一つを言葉にしてみよう。

そして、材料の正解が分からなくても、場面でその音がどう聞こえたかは感想にできます。道具当ての答えがないと楽しめない仕事、ではないんです。画面と音の組み合わせに気付いたところから、十分に話を始められます。

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音作りの本へ進むなら、効果音だけか、音全体も知りたいかで選ぼう

フォーリーという仕事から、音の制作自体にも興味が出てきた人へ。紹介する本の正式な書名は、『映像・動画制作者のためのサウンドデザイン入門 これだけは知っておきたい音響の基礎知識』、著者は坂本昭人です。

出版社ビー・エヌ・エヌの公式情報では、BGM、効果音、音声の録音、ミックスなどを扱う本として紹介されています。効果音だけを切り離さず、映像に使う音を広く学びたい場合の候補です。

公開目次の第五章は効果音制作で、効果音の役割、音源の選択と組み合わせ、リアリティの向上、演出という項目があります。第四章にはミックスとして、定位、音質、音像、音量などが並んでいます。

つまり、音を一つ作ることに加え、ほかの音とどう組み合わせ、どう整えるかも知りたい人が、目次から検討できる内容なんだね。

ただし、今回確認したのは公開されている紹介、目次、書誌情報です。本の全ページを読んだ感想ではなく、特定のフォーリーの録音手順がどのページにあるか、特定映画の作例が載っているかまでは確認していません。フォーリー専用の実技集として紹介しているわけではありません。

購入前には、自分が知りたい問いと目次を合わせてみてください。足音を作る実技だけを詳しく知りたいのか、効果音とBGMや声の関係まで知りたいのか。後者へ関心が広がっているなら、この本の範囲が選ぶ材料になります。

紙版のISBNは9784802511698。実在の楽天販売品でも、書名、著者、ISBNの一致を確認しています。検索結果には電子書籍や中古品もあるので、紙の本が欲しい場合は形式と状態を分けて見よう。

また、刊行は2020年と案内されています。載っている制作ソフトや画面が、いま手元にある最新版と同じとは確認していません。特定ソフトの現在の操作を知りたいなら、対応版の説明や公式ヘルプも必要になります。音の考え方を学ぶ目的と、最新の画面操作を探す目的は、分けて選んでね。

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次に好きな映画を見返すなら、まず一人が歩いて止まる場面を選んでみよう。

表情はもう知っている。そのうえで、今度は足が止まる瞬間まで耳を向ける。どの音が聞こえ、動きとどう重なったかを、一行だけ残してみてください。

大きな音を探さなくてもいいんです。何でもない一歩に、別の場所で演じる人の仕事がある。そのことを知ってから聞くと、いつもの映画へ戻るための楽しみが、一つ増えるよ。

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この記事を書いた人

作品を尊重しながら、映画の見どころや感想、考察を独自にまとめる編集部です。

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